水は栄養素には分類されていませんが、人体を構成する物質の中ではもっとも量が多く、成人男性は体重の60%、成人女性は55%を占めます。血液や体液だけではなく、内臓や筋肉、骨、皮膚や髪など、体内のあらゆる場所に存在します。
食品や飲み物から摂取された水分は、大半が大腸で吸収され体液になります。また、栄養素が代謝されてエネルギーに変化したときに生じる「代謝水」も体内で利用されます。
さらに、老廃物を体内の細胞から回収し、尿として排泄しています。尿には体内の水分量を一定に保つはたらきもあります。
作用
化学反応を促進させる
水は様々な物質を溶かす性質があり、栄養素の分解や合成などの代謝をはじめ、体内で起こる化学反応を促進させる役割があります。
体の隅々まで運搬する
水に溶け込んだ酸素や二酸化炭素、栄養素などを血液の成分として体のすみずみまで届けたり、老廃物を運んで排泄してたりします。
体温を一定に維持する
水は比熱が大きく外気温の影響を受けにくいので、地温を一定に維持するのに役に立ちます。
1日に必要な水分量は2~3ℓが目安
水分は栄養素ではないので、摂取基準量の規定はありません。ですが、1日当たりの必要量は2~3ℓが目安と言われています。
1日の水分の排泄量は、排尿や排便で焼く1600ml、呼吸や皮膚からの蒸発が約900mlです。毎日2500mlの水分が体内から失われているため、その分を補給する必要があります。飲み物や食べ物から上手に水分を取り入れましょう。
不足すると
水分の10%を失うと筋肉のけいれんや意識の混乱が起こる。
20%を失うと死にいたることも。
摂りすぎると
通常は排泄されるが、急激に大量お水を摂取すると、低ナトリウム血症になる。
一日の摂取量
食事から1000ml 飲み物から1200ml 代謝水300ml
1日の排泄量
日の排泄量排泄・排便1600ml 不感蒸泄900ml
水に含まれる栄養素
水の中には「ミネラルウオーター」のようにカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を多く含むものがあります。水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量は「硬度」として数値化されていて、ヨーロッパなどの水は硬度が高い硬水が多く、日本の水は硬度が低い軟水が多いという特徴があります。
また、日本の水道水に含まれるミネラルは、地域や原水によって、量に違いがあります。「食品成分表2020」には水道水に含まれるミネラル(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム)の量が地域別に収載されていて、水道水100gあたりのナトリウムは、沖縄が1.80g、中部が0.59gと、3倍以上の差があります。
次回はお水摂取の具体的な効果について書かせていただきます。